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成川研究室の出版論文リスト

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英語原著論文(2014年以降が成川研発足後の論文となります。それ以前は、成川の東大在籍時の論文です)

太字は成川が筆頭 or 責任著者, *: 責任著者, #: 共同筆頭, 青背景: 成川研の筆頭 and/or 責任著者, 緑背景: 成川研の共著者

Takeda et al. in preparation, Miyake et al. in preparation, Muraki et al. in preparation

2021

62. Hoshino, H., et al. (2021) Submitted.

61. Yagi, A.#, Miyake, K.#, and Narikawa, R.* (2021) Two distinctive systems for phycobilisome degradation in cyanobacteria and identification of a novel gene (nblD) involved in one of these systems. In revision.  

修士で卒業した八木さんとD2の三宅くんの共同筆頭著者、成川最終・責任著者の論文です。

60. Kuwasaki, Y. et al. (2021) In revision.

59. Makita, Y.#, Suzuki, S.#, Fushimi, K.#, Shimada, S.#, Suehisa, Y., Hirata, M., Kuriyama, T., Kurihara, Y., Hamasaki, H., Okubo-Kurihara, E., Yoshitake, K., Watanabe, T., Sakuta, M., Gojobori, T., Sakami, T., Narikawa, R., Yamaguchi, H., Kawachi, M., and Matsui, M. (2021) Identification of a dual orange/far-red and blue light photoreceptor from an oceanic green picoplankton. Nat. Commun. 12: 3593

共著論文がNat. Commun.誌に掲載されました。共同研究者が海洋メタゲノムデータから、二つの光受容体が融合したキメラ分子を発見し、僕らはその分光解析を担いました。解析の結果、フィトクロム領域で橙/遠赤光、クリプトクロム領域で青色光を感知することが分かりました。この解析を基に、共同研究先が、橙色光、遠赤色光、青色光下でのRNA-seq解析を行い、それぞれの光による発現の違いを特徴づけしています。プレスリリースでも、僕らの解析結果を図として取り上げてくれており、この論文における中核を担う仕事をできたと思っています。

この仕事は、元特任助教の伏見さんが担当してくれました。非常に発現が難しいタンパク質で、苦労に苦労を重ねて何とか結果を得ることができたので、彼の努力が報われたことが何より嬉しいです。キメラ光受容体といえば、フィトクロムとフォトトロピンが融合した「ネオクロム」を思い浮かぶ人も多いと思いますが、その発見者の和田先生は都立大に所属されていました。似て非なるキメラ光受容体「デュアルクロム」を、同じ所属先から発表することができたことに、縁を感じて嬉しく思っています。また、この論文において、大学の教養課程時代から博士課程まで駒場でずっと一緒だった(ラボは被っていない)栗原くんと共著になっていることも、とても嬉しい要素になっています。彼との繋がりもあって、この研究に声をかけてもらえたのだと思います。

58. Tachibana, S.R., Tang, L., Zhu, L., Takeda, Y., Fushimi, K., Ueda, Y., Nakajima, T., Kuwasaki, Y., Sato, M., Narikawa, R., and Fang, C. (2021) An engineered biliverdin-compatible cyanobacteriochrome enables a unique ultrafast reversible photoswitching pathway. Int. J. Mol. Sci., 22 (10): 5252

57. Fushimi, K.*, and Narikawa, R.* (2021) Unusual ring D fixation by three crucial residues promotes phycoviolobilin formation in the DXCF-type cyanobacteriochrome without the second Cys. Biochem. J., 478 (5): 1043-1059

元特任助教の伏見さん筆頭・責任著者、成川最終・責任著者の論文が、Biochem. J. 誌に受理されました。この論文は、2020 PNAS論文の続報にあたる内容になります。2020 PNAS論文において、second CysをもつDXCF型のサブファミリーに属するにもかかわらず、second Cysを失ったAM1_1499g1に焦点を当てて、分子進化に鑑みた部位特異的変異導入を施すことで、野生型を含め8種類の分子を設計することに成功しました。その初期の変異導入において、second Cysを導入することで、PVBへの異性化活性を付与することに成功していました。一方、AM1_6305g1はAM1_1499g1と非常に近縁な分子であるにもかかわらず、second Cysを保持しPVBへの異性化活性も示します。このことから、本研究において、AM1_6305g1のsecond Cysを別のアミノ酸に置換することで、異性化活性を失わせることを試みましたが、意外なことに異性化活性に全く影響がありませんでした。そこで、構造情報と配列比較を組み合わせることで、関与するアミノ酸残基を推定し変異導入を進めることで、second Cysがない状態でも、PVB異性化を促進できるアミノ酸残基を特性することに成功しました。これらのアミノ酸は、D環を高度に捻ることに寄与し、それによって間接的にPVBへの異性化に関わることが予想されました。

2020 PNAS論文のきっかけとなった実験が、AM1_1499g1へのCys残基の導入実験であり、それによって異性化活性の付与に成功したことから、AM1_6305g1を土台とした逆行変異と対にして、小さい論文としてまとめようという意図でこちらの実験に着手したという経緯でした。しかし、AM_6305g1ではsecond Cysの置換だけでは異性化活性を失わせることはできず、上記の目論見は早々に頓挫しました。その上で、AM1_6305g1はとりあえず後回しにして、AM1_1499g1の改変をさらに進めたことで、結果的にPNASに大きな仕事としてまとめることができました。一方、PNAS論文のデータが大体積み上がった時点で、再度、AM1_6305g1の意外な結果に向き合うことで、今回の論文で着眼した3つのアミノ酸を見出すことができて、こちらはこちらで大きい仕事として着地させることできました。予想外の結果からの試行錯誤の末に、二つの論文に結実できたのはとても嬉しいですね。さらに、2020 Photochem. Photobiol. Sci.と2020 Int. J. Mol. Sci.も2020 PNASの続報的な位置づけになるので本当に大きく育ったネタになってくれました。

56. Kirpich, J.S., Chang, C.-W., Franse, J., Yu, Q., Escobar, F.V., Jenkins, A.J., Martin, S.S., Narikawa, R., Ames, J.B., Lagarias, J.C., Larsen, D.S. (2021) Comparison of the forward and reverse photocycle dynamics of two highly similar canonical red/green cyanobacteriochromes reveals unexpected differences. Biochemistry, 60 (4): 274-288

55. Tachibana, S.R., Tang, L., Cheng Chen, C., Zhu, L., Takeda, Y., Fushimi, K., Seevers. T.K., Narikawa, R., Sato, M., and Fang, C. (2021) Transient electronic and vibrational signatures during reversible photoswitching of a cyanobacteriochrome photoreceptor. Accepted to Acta A Mol. Biomol. Spectrosc.

2020

54. Fushimi, K.#, Hoshino, H.#, Shinozaki-Narikawa, N., Kuwasaki, Y., Miyake, K., Nakajima, T., Sato, M., Kano, F., and Narikawa, R.* (2020) The cruciality of single amino acid replacement for the spectral tuning of biliverdin-binding cyanobacteriochromes. Int. J. Mol. Sci., 21 (17): 6278.

特任助教の伏見さんとM2の星野くんの共同筆頭著者、成川最終・責任著者の論文が、Int. J. Mol. Sci. 誌に掲載されました。この論文は、2019 PNAS論文と2020 PNAS論文の両方にとっての続報にあたる内容になります。XRG型CBCRにおいて、1アミノ酸の変異が波長シフトに効くとことを、両方向(長波長型を短波長型へ改変、短波長型を長波長型へ改変)で証明できました。さらに興味深いのは、この波長シフトに効いているアミノ酸変異が、2020 PNASにおけるengineeringで行なっていた変異と全く一緒で、そちらも波長シフトに効いていたことです。今回の論文の分子と2020 PNASの論文の分子は、系統的に全く異なるところに属するのに、同じポジションの同じ変異(L->Y)が、天然の進化過程で生じ、長波長シフトに寄与しているというのたとても興味深い事実だと思います。

この論文は、PIの成川の妻(Naeko Shinozaki-Narikawa)が共著に入った初めての論文です。妻には本研究で開発した蛍光プローブを培養細胞で発現させて、その蛍光を検出する実験を担当してもらいました。もともと東大の佐藤研で、長波長型に改変した分子を培養細胞で発現し、蛍光検出を試みたものの、うまくいかず、お蔵入りしかけていたのですが、妻の職場の蛍光顕微鏡のセットアップが、うちの分子の蛍光を検出する上で、少し有利かもということで、妻との共同研究に展開したという流れです。

53. Fushimi, K., Matsunaga, T., and Narikawa, R.* (2020) Photoproduct of DXCF cyanobacteriochromes without reversible Cys ligation is destabilized by rotating ring twist of the chromophore. Photochem. Photobiol. Sci. 19 (10): 1289-1299.

特任助教の伏見さん筆頭著者、成川最終・責任著者の論文が、Photochem. Photobiol. Sci. 誌に掲載されました。この論文は、2020 PNAS論文の続報にあたります。2019年度の卒業研究生の松永くんが見つけた萌芽を基に、伏見さんが更なる網羅的な実験をしてまとめてくれた論文です。松永くんは当初、異なる研究テーマで実験を進めていたのですが、2020 PNAS論文でデザインした分子を扱っているときに、ある分子のD環が高度に捩れている光​活性化型が暗反転を示すことに気がつきました。この暗反転は高度に捩れているためであると考えて、1アミノ酸変異で捩れが解消された分子を調べたところ、やはり暗反転が非常に遅いことが分かりました。その後、網羅的に解析した結果、Cys残基が脱着しないタイプにおいては、D環の高度な捩れが暗反転を促進しているということが分かりました。この研究は、CBCRの活性型の安定性について考える上で、興味深い知見を提供することができたと思っています。

松永くんの卒業研究は、夏休み過ぎくらいまでやっていたテーマでは良い結果が得られず、その後の展望も良くないということで、急遽方針転換しました。その結果をこのような形でまとめることができて良かったです。

52. Fushimi, K.*Hasegawa, M.Ito, T.Rockwell, N.C., Enomoto, G., Ni-Ni-Win, Lagarias, J. C.,  Ikeuchi, M. and Narikawa, R.* (2020) Evolution-inspired design of multicolored photoswitches from a single cyanobacteriochrome scaffold. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 117 (27): 15573-15580.

特任助教の伏見さん筆頭・責任著者、成川最終・責任著者の論文がProc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 誌に掲載されました。昨年に続いて、PNASに論文を掲載することができてとても嬉しいです。アカリオクロリスのCBCR分子・AM1_1499g1がユニークな光変換特性を示すことを明らかにし、さらに、これまでの知見や構造情報を駆使した変異導入を段階的に施すことで、野生型も含めて計8種類の光変換分子を創出することに成功しました。成川がアカリオクロリスの分子の中で最初に取り組んだのが、実はこのAM1_1499g1でしたが、長らく塩漬けされていました。2018年に出版された長谷川さんのJBC論文をきっかけに、AM1_1499g1の論文化の道筋が拓けて、その後、伏見さんがハードワークしてくれて、今回の論文として結実しました。また、早期配属の伊藤くん(現・学部三年生)も論文に貢献してくれました。

この論文は、UC DavisのClarkやNathanとの共同研究です。2018年に半年間、伏見さんがUC Davisに短期留学したことが縁となりました。

51. Miyake, K., Fushimi, K., Kashimoto, T., Maeda, K., Ni-Ni-Win, Kimura, H., Sugishima, M., Ikeuchi, M., and Narikawa, R.* (2020) Functional diversification of two bilin reductases for light perception and harvesting in unique cyanobacterium Acaryochloris marina MBIC 11017. FEBS J., 287 (18): 4016-4031

博士課程1年の三宅くん筆頭著者、成川最終・責任著者の論文がFEBS J. 誌に受理されました。詳細な経緯はコラムに掲載しましたので、興味のある方は、是非ご覧ください。本論文では、まず、Acaryochloris marinaにフィコシアノビリンを合成するPcyAが例外的に2つ存在し、それらがメイン染色体とプラスミドにそれぞれコードされていることを見出しました。フィコシアノビリンを結合するタンパク質として、メイン染色体には光受容体、プラスミドにはフィコビリソームがそれぞれ主にコードされているため、メイン染色体のPcyAは光受容体に、プラスミドのPcyAはフィコビリソームにそれぞれ色素を供給している可能性が示唆されました。詳細な生化学解析を進めることで、前者はフィコシアノビリンに加えて、それより長波長を吸収できる18^1,18^2-DHBVを、後者はフィコシアノビリンのみをそれぞれと同じDNA単位にコードされているタンパク質に供給している可能性を提示することができました。Acaryochloris marinaは他のシアノバクテリアよりも長波長の光質を光合成に利用しているため、このようなシステムによって、長波長の光質を感知することを可能にしているのかもしれません。生理学的なデータはまだあまりないですが、今後、それらも含めた研究を展開したいと思います。今後、より詳しい解説をコラムに上げようと思っています。

D1の三宅くんの初筆頭著者論文ということで、非常に感慨深いです。成川が駒場最終年で見出した可能性を、卒研から修士までの3年間をかけて、しっかりと検証してくれました。

50. Enomoto, G., Kamiya, A., Okuda, Y., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2020) Tlr0485 is a cAMP-activated c-di-GMP phosphodiesterase in a cyanobacterium Thermosynechococcus. Just Accepted to J. Gen. Appl. Microbiol. 66 (2): 147-152

49. Kashimoto, T., Miyake, K., Sato, M., Maeda, K., Matsumoto, C., Ikeuchi, M., Toyooka, K., Watanabe, S., Kanesaki, Y.,* and Narikawa, R.* (2020) Acclimation process of the chlorophyll d-bearing cyanobacterium Acaryochloris marina to orange light environment revealed by transcriptomic analysis and electron microscopic observation. J. Gen. Appl. Microbiol., 66 (2): 106-115.

修士で卒業した樫本くん筆頭著者、成川最終・責任著者論文がJ. Gen. Appl. Microbiol. 誌に受理されました。本論文では、Acaryochloris marinaの単色光(橙色光 or 遠赤色光)に対する順化応答について、RNA-seqや電顕観察を通じて解析しました。A. marinaにはフィコシアニンのメイン遺伝子が2コピーありますが、そのうちの1コピーのみの転写が橙色光に応答して誘導されていることを見出しました。興味深いことに、フィコシアニン遺伝子群は特定のプラスミドにのみコードされており、プラスミドにおける特異的な制御が存在することが期待されます。

独立してから初めてのシアノバクテリアの生理学に関する論文で、成川研一期生である樫本くんが筆頭の論文です。また、うちメインとしては、初めて伏見さんが著者に入っていない論文となります。今後も、生理学系の論文を出していけるように頑張りたいと思います。

2019

48. Kuwasaki, Y., Miyake, K., Fushimi, K., Takeda, Y., Ueda, Y., Nakajima, T., Ikeuchi, M., Sato, M., and Narikawa, R.* (2019) Protein engineering of dual-Cys cyanobacteriochrome AM1_1186g2 for biliverdin incorporation and far-red/blue reversible photoconversion. Int. J. Mol. Sci.,20: 2935 

学部で卒業した桑崎くん(現・東大博士一年)筆頭著者、成川最終・責任著者論文がInt. J. Mol. Sci. 誌に受理されました。伏見さんのPNA論文において、BV化することに失敗していたAM1_1186g2という分子に対して、構造情報や配列情報を基に変異を段階的に導入することで、BV結合能を付与した分子を開発することに成功しました。この分子は遠赤色光と青色光の間で可逆的光変換を示す非常にユニークな分子です。二つの吸収型のピーク波長の差は300 nm弱にまで至り、これまで知られている分子の中では最大です。遠赤色光吸収型から青色光吸収型への光変換が遅いという特徴がありますが、そこを改善することで、様々な応用利用が可能な分子になると期待しています。

伏見さんの論文ありきの内容だったので、伏見さんの論文が受理されるまで、投稿することができず、桑崎くんには申し訳ない状況になりました。しかし、伏見さんの論文のすぐ後に受理されることができて良かったです。

47. Fushimi, K., Miyazaki, T., Kuwasaki, Y., Nakajima, T., Yamamoto, T., Suzuki, K., Ueda, Y., Miyake, K., Takeda, Y., Choi, J.H., Kawagishi, H., Park, E.Y., Ikeuchi, M., Sato, M., and Narikawa, R.*  (2019) Rational conversion of chromophore selectivity of cyanobacteriochromes to accept mammalian intrinsic biliverdin. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 116 (17): 8301-8309

 

伏見さん筆頭著者、成川最終・責任著者論文がProc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 誌に掲載されました。伏見さんにとっても、当研究室にとってもマイルストーンとなると論文です。論文に到るまでの詳細はコラムをご参照ください。アカリオクロリス由来の例外的にビリベルジン(BV)を結合できるシアノバクテリオクルロムの配列とBVを結合できない分子の配列を比較することで、BV結合に必要な4アミノ酸残基を同定しました。また、BVを結合できるように改変した分子の結晶構造解明にも成功し、BVを結合するための分子基盤を解明しました。さらに、BVを結合し近赤外蛍光を発する分子を開発し、その分子を利用してマウス個体の肝臓を非侵襲的に可視化することに成功しました。

この論文は、当研究室の多くの学生さんが寄与してくれて、また、東大・佐藤グループ、静大グリーン研のメンバーとの共同研究の成果でもあります。中でも、結晶構造解析に尽力してくれたグリーン研の宮崎さん、東大の皆さんには、当研究室では実施できない実験・分析を担当いただき、大変助かりました。

2018

46. Maeda, K., Tamura, J., Okuda, Y., Narikawa, R., Midorikawa, T., and Ikeuchi.* (2018) Genetic identification of factors for extracellular cellulose accumulation in the thermophilic cyanobacterium Thermosynechococcus vulcanus: proposal of a novel tripartite secretion sytem. Mol. Microbiol., 109 (1): 121-134 

 

45. Hasegawa, M., Fushimi, K., Miyake, K., Nakajima, T., Oikawa, Y., Enomoto, G., Sato, M., Ikeuchi, M., and Narikawa, R.*  (2018) Molecular characterization of DXCF cyanobacteriochromes from the cyanobacterium Acaryochloris marina identifies a blue-light power sensor. J. Biol. Chem., 293 (5): 1713-1727

 

学部で卒業した長谷川さん(現・東大修士一年)筆頭著者、成川最終・責任著者論文がJ. Biol. Chem. 誌に受理されました。A. marinaに存在するDXCF型CBCRを網羅的に解析し、青/緑、青/ティール、緑/ティール、青/橙色光変換型に加え、青色光の強度を感知する受容体も同定しました。興味深いことに、この受容体の光強度感知には、Z/E異性化が伴わないことも示唆されました。これまで、開環テトラピロールを結合する光受容体は全て、光感知において、Z/E異性化を伴うことが知られており、この発見により、開環テトラピロール結合型光受容体の新たな可能性が提示されたと言えます。

 

また、Fushimi et al. (2016) Biochemistry, Fushimi et al. (2017) Photochem. Photobiol. において、それぞれ、緑色光強度受容体、赤色光強度受容体の同定を報告していたのですが、今回の報告で、青色光強度受容体を新たに同定することに成功したことになります。赤・緑・青と三色の強度センサーで三部作となりました。

 

静岡大学に着任して、最初の一年は学生さんが所属していなかったので、学生受け入れから3年弱となりますが、こちらでの学生さん筆頭著者論文が初めて受理されました!感慨深いですね。今後も、どんどん、学生さんとのコラボ論文を出していきたいと思います!今回の論文は、二人の査読者に回り、一人は指摘なし、もう一人は非常に多くの指摘、という極端な内容でした。後者の方も、基本的にポジティブな評価の上で、色々な指摘をしてくれたわけですが。同じ論文に対して、こうも触れ幅の大きい査読になるのは興味深いですねぇ。

 

2017

 

44. Scarbath-Evers, L., Jähnigen, S., Elgabarty, H., Song, C., Narikawa, R., Matysik, J., and Sebastiani, D.* (2017) Structural heterogeneity in parent ground-state structure in AnPixJg2 revealed by spectroscopy and theory. Phys. Chem. Chem. Phys., 19 (21): 13882-13894. 

 

43. Fushimi, K. , Ikeuchi, M., and Narikawa, R.* (2017) The expanded red/green cyanobacteriochrome lineage: An evolutionary hot spot. Photochem. Photobiol., 93 (3): 903-906.  

 

伏見さん筆頭著者、成川最終著者論文第四弾がPhotochem. Photobiol. 誌に受理されました。Nathan, Clarkらの論文の紹介記事としてのミニレビューですが、彼らの論文に基づいた実験をこちらで独自に行い、そのデータについても報告しています。タイトなスケジュールの中、伏見さんがハードワークしてくれました。XRG (expanded red/green) CBCRsの多様性について、先行研究も含めて総括した内容に仕上がったと自負しています。

 

42. Fushimi, K., Enomoto, G., Ikeuchi, M., and Narikawa, R.* (2017) Distinctive properties of dark reversion kinetics between two red/green-type cyanobacteriochromes and their application in the photoregulation of cAMP synthesis. Photochem. Photobiol., 93 (3): 681-691. 

 

伏見さん筆頭著者、成川最終著者論文第三弾がPhotochem. Photobiol. 誌に受理されました。僕が最初にシアノバクテリオクロムAnPixJについて報告したJ. Mol. Biol. 誌での論文(Narikawa et al. 2008 J. Mol. Biol.)においては、AnPixJには3つのシアノバクテリオクロム型GAFドメインが存在し、そのうちの二番目のGAFドメイント(AnPixJg2)と4番目のGAFドメイン(AnPixJg4)が色素を効率良く結合するものの、AnPixJg2のみがphotoactiveであると結論づけていました。しかし、その後、Nathan RockwellやClark Lagariasらのグループにより、2012年に、同じred/green型のシアノバクテリオクロムの中には、緑色光吸収型が不安定で、速やかに暗反転してしまうものが存在する、という報告がなされました。その後、暫く気づかずにいたのですが、ある時、AnPixJg4が光変換しないように見えたのは、実は暗反転が速かったからかも!?という可能性に気づき、実験を行ったところ、確かにそうだった、という流れで、この論文の骨子が作られました。その後、さらに、AnPixJg2とAnPixJg4の配列を比較し、暗反転に重要と考えられる6つのアミノ酸残基を見いだし、それらを全てAnPixJg2に導入することで、AnPixJg4までとは言えませんが、かなり暗反転速度が速いタンパク質(AnPixJg2_DR6)を創出することに成功しました。また、これらをベースに、cAMP合成酵素との融合タンパク質を作製することで、赤/緑色光変換型・赤色光・暗状態変換型cAMP合成システムを作ることに成功しています。これらのツールは、まだまだ改善の余地があるとは思いますが。

 

この論文は、2010年11月〜2011年1月まで短期留学先として滞在していたマックスプランク研究所のWolfgang Gärtnerさんが、今年、定年定職することになり、彼のこれまでの光化学・光生物学への貢献を労う特別号がPhotochemistry and Photobiology誌で企画され、その特別号へ投稿しないか?と声をかけられて、投稿したものになります。このような素晴らしい特別号に貢献することができて、とても嬉しいです。WolfgangさんはこれからもJörg Matysikさんのところで研究を暫く続けるそうです。

 

41. Fujisawa, T., Narikawa, R., Maeda, SI., Watanabe S., Kanesaki Y., Kobayashi, K., Nomata, J., Hanaoka, M., Watanabe M., Ehira, S., Suzuki, E., Awai, K., and Nakamura, Y.* (2017) CyanoBase: A large-scale update on its 20th anniversary. Nucleic Acids Res., 45 (D1): D551-D554.  

 

CyanoBase 20周年を期に大幅アップデートした論文です。15年間、大変お世話になったデータベースに貢献できて良かったです。

 

2016

 

40. Fushimi, K., Rockwell, N., Enomoto, G., Ni-Ni-Win, Martin, S., Gan, F., Bryant, DA., Ikeuchi, M., Lagarias, J. C., and Narikawa, R.* (2016) Cyanobacteriochrome photoreceptors lacking the canonical Cys residue. Biochemistry, 55 (50): 6981-6995. 

 

Clark Lagarias, Don Bryantとの共同研究の伏見さん筆頭著者、成川最終著者論文がBiochemistry誌に受理されました。これまでに知られているシアノバクテリオクロムは全て、Canonical Cysというアミノ酸が開環テトラピロールのA環に結合することで、色素を安定的に保持しているのですが、今回報告したシアノバクテリオクロム群では、そのCanonical Cysがないにも関わらず、光変換するものでした。これらのシアノバクテリオクロムにおいては、second Cysと呼ばれる別の場所に保存されたCys残基が色素に安定的に結合し、さらに、二つの光質の量比を感知するのではなく、緑色光の光量を感知する性質を持つことを明らかにしました。この仕事は、「Canonical Cysありき」というシアノバクテリオクロムのこれまでのドグマを覆す内容であり、別の新たな光受容体の存在も示唆する内容になっていると思います。メインの図13個、サプリの図6個とかなり盛りだくさんで、かつ、グラフばかりの論文ですが、興味のある方は読んでいただければ幸いです。

 

最初に配列がユニークということで、駒場時代にタンパク質の発現を行い、大量に色のついたサンプルは取得できたものの、光照射後にスペクトルを測定しても変化が見られず、長い間お蔵入りされていました。しかし、論文発表の順番は逆になってしまいましたが、AnPixJg4が暗反転型であることに気づいた時、このタンパク質もひょっとすると暗反転型かもしれない、と思い至り、フリーザーに長いこと眠っていたサンプルを出して測定して判明した経緯があります。

39. Fushimi, K., Nakajima, T., Aono, Y., Yamamoto, T., Ni-Ni-Win, Ikeuchi, M., Sato, M., and Narikawa, R.* (2016) Photoconversion and fluorescence properties of a red/green-type cyanobacteriochrome AM1_C0023g2 that binds not only phycocyanobilin but also biliverdin. Front. Microbiol., 7: 588 

http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fmicb.2016.00588/abstract

 

伏見さん筆頭著者、成川最終著者論文第一弾が無事、Front. Microbiol. 誌アクセプトされました。この論文では、アカリオクロリス由来のred/green-type CBCRとして、第三のBV結合能を持つGAFドメイン・AM1_C0023g2の分光特性を解析しました。これまでにBVを結合することが分かっているAM1_1557g2やAM1_1870g3に比べて、BVの結合効率が高いことが分かりました。また、部位特異的変異導入により、さらに結合効率を高めつつ、大腸菌内での発現効率を大幅に改善することにも成功しました。これらの改善により、BV結合型AM1_C0023g2が、オプトジェネティクスにおける遠赤色光スイッチの開発プラットフォームとして優れていると考えています。また、このAM1_C0023g2を哺乳類の培養細胞・HeLa細胞に導入し、PCBを添加することで、遠赤色蛍光を検出することに成功しました。こちらに関しては、蛍光プローブの開発プラットフォームとして有望と期待しています。

 

この論文は、実験の準備は東大駒場在籍時に行われましたが、実際の研究内容は静岡大学に来てから主に行ったものです。静岡大学での二年間の成果をまず、報告できて中々に感慨深いですね。また、ラボスタート時から一緒に働いてくれている研究員・伏見さんの筆頭著者論文第一弾でもあります。僕にとっても、最終著者論文デビュー作となります!

 

38. Nagao, R.*, Tomo, T., Narikawa, R., Enami, I., and Ikeuchi, M. (2016) Conversion of photosystem II dimer to monomers during photoinhibition is tightly coupled with decrease in oxygen-evolving activity in the diatom Chaetoceros gracilis. Photosyn. Res., 130: 83-91 

 

 

2015

 

37. Song, C., Velazquez Escobar, F.J., Xu, X.L., Narikawa, R., Ikeuchi, M., Siebert, F., Gärtner, W., Matysik, J., and Hildebrandt, P.* (2015) A red/green cyanobacteriochrome sustains its color despite a change of the bilin chromophore's protonation state. Biochemistry, 54 (38): 5839-5848

 

ドイツ・オランダとの共同研究第二報目。NMR論文。PCBの窒素にのみ同位体ラベルを入れてアポタンパク質と再構成し、その解析をすることで、PCBの窒素の動きを解析しました。Pg型において、B環の窒素にプロトンが付加したものと付加していないものが、再構成のやり方の違いで見つかりましたが、その両者で分光的特性が変わらないことが分かり、プロトンの付加状態は、Pg型の分光特性には関係ないことが分かりました。

 

36. Song, C., Narikawa, R., Ikeuchi, M., Gärtner, W., and Matysik, J.* (2015) Color tuning in red/green cyanobacteriochrome AnPixJ: Photoisomerization at C15 causes an excited-state destabilization. J. Phys. Chem. B, 119 (30): 9688-9695

 

ドイツ・オランダとの共同研究第一報目。NMR論文。PCBの炭素にのみ同位体ラベルを入れてアポタンパク質と再構成し、その解析をすることで、PCBの炭素の動きを解析しました。活性化状態の不安定化により、緑色光吸収型が形成されることが示唆されました。

 

35. Enomoto, G., Ni-Ni-Win, Narikawa,R., Ikeuchi, M.* (2015) Three cyanobacteriochromes work together to form a light color-sensitive input system of c-di-GMP signaling of cell aggregation. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 112 (26): 8082-8087

 

34. Narikawa, R.*Fushimi, K., Ni-Ni-Win, and Ikeuchi, M. (2015) Red-shifted red/green-type cyanobacteriochrome AM1_1870g3 from the chlorophyll d-bearing cyanobacterium Acaryochloris marina. Biochem. Biophys. Res. Commun., 461 (2): 390-5

 

BV結合型シアノバクテリオクロムの二報目です。アカリオクロリスのR/G型シアノバクテリオクロムGAFドメイン、AM1_1870g3は、結合効率は低いものの、やはりPCBとBVの両方を結合しました。さらに、PCB結合型もBV結合型もAM1_1557g2よりも10-20 nmほど長波長シフトしており、差スペクトルでは、Pfr型のピークは、713 nmまで到達しています。この性質は、オプトジェネティクスなどへの応用にとても有用であると期待できます。

 

この論文は、当初、参加した国際学会のSpecial Issueに投稿したのですが、あまりに雑誌のScopeとずれていたせいか、rejectされてしまいました。そこで、BBRCに投稿したのですが、非常にプロセスが早く、reviseなしで、2-3日でacceptされました。これまで、reviseなしでacceptしてもらったことはなかったので、非常に驚きました。

 

33. Maeda, K., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2015) Measurement of nucleotide triphosphate sugar transferase activity via generation of pyrophosphate. Bio-Protocol, 5 (8): e1450

 

32. Narikawa, R.*, Nakajima, T., Aono, Y., Fushimi, K., Enomoto, G., Ni-Ni-Win, Itoh, S., Sato, M., and Ikeuchi, M. (2015) A biliverdin-binding cyanobacteriochrome from the chlorophyll d–bearing cyanobacterium Acaryochloris marina. Sci. Rep., 5: 7950

 

世界で初めて、ビリベルジンが結合するシアノバクテリオクロムを発見しました。ビリベルジンを結合したシアノバクテリオクロムは、遠赤色光と橙色光の間で光変換し、遠赤色光吸収型は、微弱ながら蛍光を発しました。このシアノバクテリオクロムは、光合成反応中心色素が、通常のシアノバクテリアが持つクロロフィルaよりも長波長であるクロロフィルdであるアカリオクロリスから得られたものですので、遠赤色光を感知する性質が、アカリオクロリスの光合成特性とよく合致しており、生理的にも重要な役割を果たしている可能性を期待しています。また、遠赤色光は動物個体の奥深い組織まで浸透しやすい光であるため、動物などにおけるオプトジェネティクスや蛍光イメージングのための光スイッチ・蛍光プローブとして、開発可能であると考えています。

 

2013年に掲載されたPNAS論文のリバイスのために行った実験で、予想外の結果が得られ、そこから発展した研究です。こちらも東京大学時代に行った実験がメインですが、やはり、静岡大学で行った実験も含まれます。また、2013年の5月から共同研究を始めた、東大駒場の佐藤守俊先生のグループとの共著論文第一報目となります。この論文は、一人のreviewerからは特に絶賛で、"marvelous discovery"、"I congratulate the authors in their acumen"、"the current report represents a significant breakthrough whose far-reaching relevance and importance can hardly be overstated"といった非常に素晴らしいコメントをいただけました。やはり、同業者に認められるのは何より嬉しいですよね!

 

 

2014

 

31. Enomoto, G., Nomura R., Shimada, T., Ni-Ni-Win, Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2014) Cyanobacteriochrome SesA is a diguanylate cyclase that regulates cell aggregation in Thermosynechococcus. J. Biol. Chem., 289 (36): 24801-24809

 

30. Narikawa, R.*, Enomoto, G., Ni-Ni-Win, Fushimi, K., and Ikeuchi, M. (2014) A new dual-Cys cyanobacteriochrome GAF domain found in cyanobacterium Acaryochloris marina, which has an unusual red/blue reversible photoconversion cycle. Biochemistry, 53 (31): 5051-5059

 

シアノバクテリアAcaryochloris marinaにおいて、AnPixJg2のようなred/green型CBCR GAFドメインが5つ存在しますが、その一つ、AM1_1186g2では、面白いことに、赤色光吸収型(Pr)はAnPixJg2のPrと非常によく似ているが、赤色光照射により、緑色光吸収型ではなく、青色光吸収型(Pb)へと変換しました。 さらに、Pr -> Pb光変換過程で、橙色光を吸収する中間体(Io)が見いだされた。これらの吸収型の産生変性スペクトル解析から、赤色光照射により、まずは Z->E変換に伴ったIoの形成が起こり、その後、ゆっくりとPbの形成が起こることが明らかとなりました。また、ヨードアセトアミドによる化学修 飾や 部位特異的変異導入解析により、今までに知られていないCys残基が、Pb型において色素と共有結合を形成することで短波長シフトが起こることが示唆され ました。また、そのCys残基の隣に存在するPro残基に変異を導入することで、中間体の形成が見られなくなり、Pro残基がCys残基と色素との間の結合形成を遅くしていることが示唆されました。

 

この研究は、ほとんどの実験が東京大学時代に行われたものですが、一部、静岡大学に着任してから研究室を立ち上げて行った実験も含まれます。その意味で、独立後最初の論文ということで、感慨深いです。この研究は、当初、Acaryochlorisが通常の光合成生物よりも長波長の光を光合成に用いているので、他のシアノバクテリア由来のCBCRよりも、長波長の光を感知する光センサーがあるのではないか、との仮説を基に研究を始めたのですが、意外なことに、寧ろ、短波長の光を感知するセンサーが見つかった、という経緯です。最初に光変換を観察した時は、非常にびっくりしましたが、その意外性から、新たな作業仮説を設定し、それを検証する実験過程はとても楽しかったです。2013年の夏頃に研究を着想し、秋頃にプライマーを設計し、実験を開始しました。その意味で、これまでの成川の研究としては、最速と言える速度で論文化まで至った例です(これまでが遅筆であったという部分も大きいのですが・・・)。

 

29. Maeda, K., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2014) CugP is a novel ubiquitous non-GalU-type bacterial UDP-glucose pyrophosphorylases found in cyanobacteria. J. Bacteriol., 196 (13): 2348-2354

 

28. Watanabe, M., Semchonok, DA., Webber-Birungi, MT., Ehira, S., Kondo, K., Narikawa, R., Ohmori, M., Boekema, EJ., Ikeuchi, M.* (2014) Attachment of phycobilisomes in an antenna-photosystem I supercomplex of cyanobacteria. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 111 (7): 2512-2517

 

 

2013

 

27. Velazquez Escobar, F., Utesch, T., Narikawa, R., Ikeuchi, M., Mroginski, MA., Gärtner, W., and  Hildebrandt, P.* (2013) Photoconversion mechanism of the second GAF domain of cyanobacteriochrome AnPixJ and the cofactor structure of its green-absorbing state. Biochemistry, 52 (29): 4871-4878

 

AnPixJのPg, Pr型とそれぞれの中間体について、ラマン分光解析を行いました。また、Pr型の構造を基に分子動力学法によりPg型の構造を予測し、ラマン分光の解析と合わせて、Pr型とPg型の間の光変換機構について理解を深めました。Pr -> Pg光変換過程で、Trp残基とAsp残基が重要な役割を果たし、水和反応が良く起こることが示唆されました。

 

26. Ohbayashi, R., Watanabe, S., Kanesaki, Y., Narikawa, R., Chibazakura, T., Ikeuchi, M., and Yoshikawa, H.* (2013) DNA replication depends on photosynthetic electron transport in cyanobacteria. FEMS Microbiol. Lett., 344 (2): 138-144

 

25. Nagao, R.*, Tomo, T., Narikawa, R., Enami, I., and Ikeuchi, M.* (2013) Light-independent biosynthesis and assembly of the photosystem II complex in the diatom Chaetoceros gracilis.  FEBS Lett., 587 (9): 1340-1345

 

24. Hirose, Y., Rockwell, NC., Nishiyama, K., Narikawa, R., Ukaji, Y., Inomata, K., Lagarias, JC., and Ikeuchi, M.* (2013) Green/red cyanobacteriochromes regulate complementary chromatic acclimation via a protochromic photocycle. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 110 (13): 4974-4979

 

23. Narikawa, R.#, Ishizuka, T.#, Muraki, N., Shiba, T., Kurisu, G., and Ikeuchi, M.* (2013) Structures of cyanobacteriochromes from phototaxis regulators AnPixJ and TePixJ reveal general and specific photoconversion mechanism. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 110 (3): 918-923 

#: equally contributed

 

AnPixJのPr型とTePixJのPg 型の色素結合GAFドメインの結晶構造を決定しました。シアノバクテリオクロムの立体構造としては世界初の報告です。また、それぞれ色素構造が異なるもので あったので、フィトクロムの構造と比較することで、開環テトラピロール結合型光受容体の構造について、その多様性と普遍性について理解が深まりました。

 

この研究成果についてプレスリリースしました。

http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_241218_j.html

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20121218/

 

この論文についてアメリカとドイツの研究者達からcommentaryをいただきました。

http://www.pnas.org/content/110/3/806.extract

 

2012

 

22. Nagao, R., Tomo, T., Noguchi, E., Suzuki, T., Okumura, A., Narikawa, R., Enami, I., and Ikeuchi, M.* (2012) Proteases are associated with a minor fucoxanthin chlorophyll a/c-binding protein from the diatom, Chaetoceros gracilis. Biochem. Biophy. Acta, 1817: 2110-2117

 

21. Enomoto, G., Hirose, Y., Narikawa, R. and Ikeuchi, M.* (2012) Thiol-based photocycle of the blue and teal light-sensing cyanobacteriochrome Tlr1999. Biochemistry, 51: 3050-3058

 

20. Watanabe, M., Sato, M., Kondo, K., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2012) Phycobilisome model with novel skelton-like structures in a glaucocystphyte Cyanophora paradoxa. Biochim. Biophys. Acta, 1817: 1428-1435

 

灰色藻Cyanophoraは原始的な葉緑体を持つ進化的に興味深い真核藻類であり、緑色植物は持たないシアノバクテリア型集光装置・フィコビリソームを持ちます。この論文では、 Cyanophoraのフィコビリソームを単離し、そのタンパク質組成を解析した。また、リンカータンパク質からなる新規サブ複合体の単離に成功しました。

 

19. Midorikawa, T., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2012) A deletion mutation in the spacing within the psaA core promoter enhances transcription in a cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803. Plant Cell Physiol., 53 (1): 164-172

 

SynechocystisにおけるpsaAB遺伝子の転写活性因子slr0846の破壊株では、psaAB遺伝子の転写が著しく減少するが、その中から転写活性が回復する疑似復帰変異株が単離されました。psaABプロモーター領域を解析すると、コアプロモーターのスペーサー配列に欠失が生じることで、転写活性化が起こることを見い出しました。

 

2011

 

18. Narikawa, R.*, Suzuki, F., Yoshihara, S., Higashi, S., Watanabe, M., and Ikeuchi, M. (2011) Novel photosensory two-component system PixA-NixB-NixC) invovled in the regulation of positive and negative phototaxis of cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803. Plant Cell Physiol., 52 (12): 2214-2224

 

Synechocystisにおいて、正と負の走光性の制御に関わる二成分制御系PixA, NixB, NixCを同定した。これら3つのタンパク質は遺伝子クラスターとして存在し、PixAは正の走光性に必須で、NixB, NixCは負の走光性に必須であり、予期せぬ情報伝達機構が示唆されました。また、PixAは紫色光と緑色光の間で可逆的に光変換し、紫色光の感知に重要であることが示唆されました。

 

17. Fukushima, Y., Iwaki, M., Narikawa, R., Ikeuchi, M., Tomita, Y., and Itoh, S.* (2011) Photoconversion mechanism of a green/red photosensory cyanobacteriochrome AnPixJ; time-resolved optical spectroscopy and FTIR analysis of AnPixJ-GAF2 domain. Biochemistry, 50 (29): 6328-6339

 

AnPxJの光反応機構を解析するために、過渡吸収スペクトル測定とFTIR解析を行いました。その結果、赤色光吸収Pr型から緑色光吸収Pg型、PgからPrのそれぞれの反応において、それぞれ2つの中間体を同定した。特に、Pr型からPg型への反応では、最初にZ/E変換が起こることが示唆されました。また、FTIR解析の結果、フィトクロムとはかなり異なる反応機構が示唆されました。

 

16. Kawano, Y., Saotome, T., Ochiai, Y., Katayama, M., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2011) Cellulose accumulation and a cellulose synthase gene are responsible for cell aggregation in the cyanobacterium Thermosynechococcus vulcanus RKN. Plant Cell Physiol., 52 (6): 957-966

 

好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus vulcanus RKNは低温光条件下で細胞凝集することが知られています。この現象は、低温下での光阻害を積極的に回避するための"Self-shading"と解釈でき、積極的な光順化反応といえます。我々はこの論文において、低温光条件下での細胞凝集がセルラーゼ処理によって迅速に解消されること、低温光条件下において特異的にセルロースが蓄積することを見出しました。T. vulcanusのゲノム上には3つのセルロース合成酵素様遺伝子が存在します。これら3つの遺伝子の破壊株を作製・解析したところ、tll0007というセルロース合成酵素様遺伝子が、低温特異的な細胞凝集とセルロース合成に必須であり、Tll0007が低温特異的にセルロースを合成することが示唆されました。先行研究において、一部のシアノバクテリアがセルロースを合成することは示されていましたが、遺伝学的にセルロース合成酵素の実体を証明した初めての報告であり、また、シアノバクテリアにおけるセルロースの生理的意義を解明したという点においてもこの論文は非常に意義深いものであると思います。

 

15. Ishizuka, T., Kamiya, A., Suzuki, H., Narikawa, R., Noguchi, T., Kohchi, T., Inomata, K., and Ikeuchi, M.* (2011) The cyanobacteriochrome, TePixJ, isomerizes its own chromophore by converting phycocyanobilin to phycoviolobilin. Biochemistry, 50 (6): 953-961.

 

青色光吸収型(Pb)と緑色光吸収型(Pg)の間を光変換する光受容体TePixJの色素であるフィコビオロビリン(PVB)がTePixJ自身の色素結合GAFドメイン内の自己異性化反応によって、フィコシアノビリンから生成されていることをin vitro再構成実験により明らかにしました。また、Pb型において、第二の保存されたシステイン残基が一過的にC10に共有結合することで青色光を吸収できるようになることを示唆する結果がFTIR解析により得られました。これらの結果は、Pb/Pg型の光変換シアノバクテリオクロムの反応機構の理解に、大きく貢献していると思います。

 

14. Watanabe, M., Kubota, H., Wada, H., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2011) Novel supercomplex organization of photosystem I in Anabaena and Cyanophora paradoxa. Plant Cell Physiol., 52 (1): 162-168.

 

酸素発生型光合成の光化学系Iは、シアノバクテリアでは三量体を形成し、高等植物では単量体を形成していることが分かっていましたが、シアノバクテリアでは、SynechocystisThemosynechococcusといった一部のシアノバクテリアでしか報告がなく、また、真核藻類においても、一部のモデル生物でしか調べられていませんでした。そこで、この論文では、様々なシアノバクテリアや真核藻類を材料として、その光化学系Iの多量体構造をBlue-Native PAGEやショ糖密度勾配遠心法により、調べました。その結果、Anabaena sp. PCC 7120や灰色藻であるCyanophora paradoxaでは、予想に反して、三量体よりもさらに大きな多量体構造(4量体?)を形成していることが示唆されました。この結果は、光化学系I複合体が非常に重要で、普遍的なタンパク質複合体であるにもかかわらず、多様化していることを意味し、非常に興味深いと思います。

 

2010

 

13. Hirose, Y., Narikawa, R., Katayama, M., and Ikeuchi, M.* (2010) Cyanobacteriochrome CcaS regulates phycoerythrin accumulation in Nostoc punctiforme, a group II chromatic adapter. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 107 (19): 8854-8859.

 

シアノバクテリアは光合成の集光装置として、フィコビリソームという超分子複合体を持ちます。一部のシアノバクテリアでは、フィコエリスリン(緑色光吸収アンテナ)とフィコシアニン(赤色光吸収アンテナ)を持ち、光質依存的にこれらの色素タンパク質の量比を調節することで、補色順化(適応)を行うことが知られています。フィコエリスリンとフィコシアニンの両方の量を調節する補色順化をIII型, フィコエリスリンのみの量を調節する補色順化をII型とそれぞれ呼びます。III型補色順化を示すFremyella diplosiphonというシアノバクテリアにおいて、RcaE, F, Cというタンパク質群が転写調節を介してフィコシアニンとフィコエリスリンの量を調節していることが報告されていましたが、II型補色順化の制御は全く未知でした (Kehoe et al. 1996 Science) 。この論文では、II型補色順化を示すNostoc punctiformeにおいて、CcaS(緑色光センサーキナーゼ)とCcaR(転写因子)という二つのタンパク質が緑色光に応答して、転写調節を介してフィコエリスリンの量を調節していることを報告しました。この論文によって、補色順化の調節機構が分子レベルで詳細に解明され、画期的な結果といえます。

 

12. Fujisawa, T., Narikawa, R., Okamoto, S., Ehira, S., Yoshimura, H., Suzuki, I., Masuda, T., Mochimaru, M., Takaichi, S., Awai, K., Sekine, M., Horikawa, H., Yashiro, I., Omata, S., Takarada, H., Katano, Y., Kosugi, H., Tanikawa, S., Ohmori, K., Sato, N., Ikeuchi, M., Fujita, N., and Ohmori, M.* (2010) Genomic structure of an economically important cyanobacterium Arthrospira (Spirulina) platensis NIES-39. DNA Res., 17 (2): 85-103.

 

シアノバクテリアArthrospira platensis (通称スピルリナ) は健康食品や食用色素として、産業的に重要なシアノバクテリアです。スピルリナは好アルカリ性であるため、開放環境で培養を行っても他の微生物などがコンタミしづらく、開放環境でのほぼ無菌的な大量培養が可能です。また、螺旋形状をした細胞体が多糖を細胞外に分泌することで、細胞同士が凝集するために、遠心操作などをしなくても菌体を回収することが可能です。これらの特徴を活かして、実際に産業利用されているわけですが、スピルリナは現在も形質転換系が確立されておらず、更なる応用利用のための遺伝子改変などが行えません。この問題の解決には、ゲノム構造を解明することが大きな突破口となりうると考え、この論文では、Arthrospira platensis NIES-39のゲノム構造を解明しました。その結果、スピルリナには非常に多くの制限修飾系が存在し、それらが形質転換系の確立を妨げていることが予測されました。今後、これらの制限修飾系のメチラーゼによる修飾を行なったDNAを形質転換するなどの方法により形質転換系の確立が期待されます。それ以外にも、佐藤直樹先生が開発されたCyanoClustを活用した比較ゲノム解析により、糸状性シアノバクテリアに特異的な遺伝子群を同定しました。

 

2009

 

11. Midorikawa, T., Matsumoto, K., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2009) An Rrf2-type transcriptional regulator is required for expression of psaAB genes in the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803. Plant Physiol., 151 (2): 882-892.

 

シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803において、光化学系I反応中心をコードするpsaAB遺伝子の発現調節を行う新規転写因子を同定しました。遺伝子破壊株の転写解析、精製タンパク質によるゲルシフト解析・フットプリント解析などによって、この転写因子がpsaAB遺伝子の上流領域に特異的に結合し、psaABの発現を活性化していることを明らかにしました。この転写因子はシアノバクテリアに広く保存されているため、シアノバクテリアにおける光化学系Iの制御の理解に大きく貢献した論文だと思います。

 

10. Watanabe, M., Iwai, M., Narikawa, R., and Ikeuchi, M.* (2009) The Photosystem II Complex is a Monomer or a Dimer? Plant Cell Physiol., 50 (9): 1674-1680.

 

酸素発生型光合成の光化学系IIは、これまで生体内で二量体として存在し、機能していると考えられていました。一方で、同程度の活性を示す単量体も生化学的に精製されることから、二量体と単量体のどちらが果たして生体内では機能しているのか?という問いには実はまだ答えがありません。この論文では、Thermosynechococcus elongatus BP-1の光化学系IIを異なる濃度のβ-DMで可溶化することで、単量体と二量体の量比が変動することを見出しました。β-DMの濃度が濃くなるにつれて、単量体が減少し、二量体が増加することが分かりました。これは、β-DMの濃度が上昇することで、二量体の間に存在する脂質がβ-DMと置き換わり、より強固な二量体が形成されることが原因であると考えられました。結論として、生体内では、光化学系IIはゆるい相互作用を介した二量体を形成していることが示唆されます。この論文は、これまで研究者が当たり前だと考えていた事柄に対して疑問を持ち、そこに対して詳細な解析をし、新たな仮説を提出した、という点で非常に意義のある研究だと思います。

 

9. Narikawa, R.*, Muraki, N., Shiba, T., Ikeuchi, M., and Kurisu, G. (2009) Crystallization and preliminary X-ray studies of the chromophore-binding domain of cyanobacteriochrome AnPixJ from Anabaena sp. PCC 7120. Acta Crystallogr. Sect. F Struct. Biol. Cryst. Commun., 65 (2): 159-162.

 

シアノバクテリオクロムAnPixJの赤色光吸収型の結晶化に成功しました。

 

2008

 

8. Narikawa, R.*, Kohchi, T., and Ikeuchi, M. (2008) Characterization of the photoactive GAF domain of the CikA homolog (SyCikA, Slr1969) of the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803. Photochem. Photobiol. Sci., 7 (10): 1253-9.

 

シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC 7942において、概日リズムを調節するタンパク質として、CikA (ScCikA) が以前に同定されていました。ScCikAはフィトクロムの色素結合GAFドメインと相同なドメインを有することから、当初光受容体として、概日リズムを調節することが示唆されました。しかし、その後、ScCikAのGAFドメインには色素を共有結合するシステイン残基が保存されておらず、実際に色素を結合しないこともin vivoの解析から示唆され、現在では、光受容体ではなく、他のドメインを介して、レドックスセンサーとして機能することが示唆されています。一方、他のシアノバクテリアの大多数のCikAホモログにおいては、GAFドメイン内のシステイン残基が保存されており、光受容体として機能することが示唆されました。そこで、システイン残基が保存されているSynechocystis sp. PCC 6803のCikAホモログ (SyCikA) のGAFドメインを解析したところ、SyCikAは色素を共有結合し、光に応答した吸収変化を示しました。通常、他のフィトクロムやシアノバクテリオクロムでは、可逆的な光変換を示しますが、SyCikAは紫色光吸収型から黄色光吸収型への片方向光変換と逆方向への暗反転という特異な分光特性を示すことが明らかとなりました。SyCikAがScCikA同様、概日リズムの調節に関わっているとすると、概日リズムは明暗を見分ける必要があるので、この片方向光変換という性質は理にかなっているかもしれません。

 

7. Hirose, Y., Shimada, T., Narikawa, R., Katayama, M., and Ikeuchi, M.* (2008) Novel cyanobacteriochrome CcaS is green/red light receptor and up-regulates the expression of phycobilisome linker protein by green light.  Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 105 (28): 9528-9533.

 

シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803において、集光装置であるフィコビリソームのロッドコアリンカー・CpcGタンパク質が二つの遺伝子 (cpcG1, cpcG2) にコードされており、cpcG2がCcaS, CcaRという二成分制御系を介して、光依存的な転写制御を受けていることが先行研究で分かっていました。この論文では、CcaSがフィコシアノビリンを共有結合し、緑色光吸収型 (Pg) と赤色光吸収型 (Pr) の間を可逆的に光変換し、Pr型において自己リン酸化活性が活性化されることを見出しました。このことから、CcaSが緑色光受容体として機能していることが明らかとなりました。シアノバクテリオクロムにおいて、初めて活性制御が報告された例であり、非常に画期的な仕事といえます。

 

6. Narikawa, R.*, Fukushima, Y., Ishizuka, T., Itoh, S., and Ikeuchi, M. (2008) A novel photoactive GAF domain of cyanobacteriochrome AnPixJ that shows reversible green/red photoconversion. J. Mol. Biol., 380 (5): 844-855.

表紙に採用されました!

 

先行研究において、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803において、走光性を制御するSyPixJ1が同定されました (Yoshihara et al. 2000 Plant Cell Physiol.) 。SyPixJ1はフィトクロムの色素結合ドメインと似て非なるGAFドメインを持ち、色素を共有結合し、青色光吸収型と緑色光吸収型間の可逆的光変換を示すことが明らかとなっています (Yoshihara et al. 2004 Plant Cell Physiol.) 。シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120にもPixJホモログが存在しますが、面白いことにその色素結合GAFドメインはSyPixJ1のGAFドメインとは全く似ていませんでした。そこで、実際にAnabaena のPixJ (AnPixJ) のGAFドメインを解析したところ、フィコシアノビリンを共有結合し、赤色光吸収型 (Pr) と緑色光吸収型 (Pg) の間の可逆的光変換を示すことが明らかとなりました。これは、フィトクロムともSyPixJ1とも異なった、新規の分光特性でした。フィトクロムは赤色光吸収型 (Pr) と遠赤色光吸収型 (Pfr) の間を可逆的に光変換します。変性解析や中間体の解析などにより、AnPixJのPrは色素構造としてもフィトクロムのPrとよく似ており、赤色光照射により、フィトクロム同様CD環の間の二重結合の回転が起こるが、最終的にはPfrとは全く正反対のPg型が形成されることが示唆されました。この結果は、シアノバクテリオクロムの多様性を理解する上でも非常に興味深く、また、フィトクロムとの比較、という点でも面白い結果だと思います。

 

2007

 

5. Ishizuka, T., Narikawa, R., Kohchi, T., Katayama, M., and Ikeuchi, M.* (2007) Cyanobacteriochrome TePixJ of Thermosynechococcus elongatus harbors phycoviolobilin as a chromophore. Plant Cell Physiol., 48 (9): 1385-90.

 

シアノバクテリアThemosynechococcus elongatus BP-1におけるSyPixJ1ホモログTePixJに共有結合した色素がフィコビオロビリンであることを酸性変性解析により明らかにした論文です。シアノバクテリオクロムにフィコシアノビリン以外の色素が結合することを初めて提唱し、非常に重要な論文といえます。

 

2006

 

4. Narikawa, R., Zikihara, K., Okajima, K., Ochiai, Y., Katayama, M., Shichida, Y., Tokutomi, S., and Ikeuchi, M.* (2006) Three Putative Photosensory Flavin-PAS Domains with Distinct Biochemical Properties in the Filamentous Cyanobacterium Anabaena sp. PCC 7120. Photochem. Photobiol., 82 (6): 1627-33.

 

シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120に存在するフラビン結合型PASドメイン (LOV) ドメインの生化学的解析を行った論文です。先行研究において、進化的に保存されたPASドメインと保存されていないPASドメインを見出し、前者がよりセンサーとして機能するのではないか、という予測を行なった (Narikawa et al. 2004 DNA Res.) 。Anabaena には3つのフラビン結合PASドメインが存在するが、うち二つ (Alr3170-PAS, All2875-PAS) は進化的に保存され、残りの一つ (Alr1229-PAS) は進化的に保存されていなかった。これらを生化学的に解析したところ、面白いことに前者はフラビンを結合し、光応答性を示したのに対し、後者は全くフラビンを結合しなかった。これは、先行研究における進化的に保存されたドメイン程センサーとして機能しうるという仮説を証明したといえる。また、フラビンを結合するAlr3170-PASとAll2875-PASに関してもその光応答性は有意に異なり、Alr3170-PASはより光応答性が高く、All2875-PASは光応答性が悪かった。つまり、前者はより弱い光のセンサーとして、後者はより強い光のセンサーとして機能していることが示唆された。この論文は、ドメインの進化という側面からも非常に重要な論文といえると思います。

 

2004

3. Narikawa, R., Okamoto, S., Ikeuchi, M.*, and Ohmori, M. (2004) Molecular evolution of PAS domain-containing proteins of filamentous cyanobacteria through the domain shuffling and domain duplication. DNA Res., 11 (2): 69-81.

先行研究において、シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120に非常に多くのPASドメインが存在することを報告しましたが、それらのほとんどが機能未知なドメインでした (Ohmori et al. 2001 DNA Res.)。それらの中には新規のセンサードメインが存在することが期待されましたので、同時期にドラフトゲノム配列が公開されたNostoc punctiformeのPASドメイン含有タンパク質と網羅的な比較解析を行いました。その結果、多くのオルソルグタンパク質を同定しましたが、面白いことに、いくつかのオルソログにおいて、二つの種が分岐した後に、ドメイン重複やドメインシャッフリングを経て、ドメイン構造が複雑化していることが示唆されました。

2. Sato, N.*, Ohmori, M., Ikeuchi, M., Tashiro, C., Wolk, P., Kaneko, T., Okada, K., Tsuzuki, M., Ehira, S., Katoh, H., Okamoto, S., Yoshimura, H., Fujisawa, T., Kamei, A., Yoshihara, S., Narikawa, R., Hamano, S., Tabata, S., and Kuhara, S. (2004) Use of segment-based microarray in the analysis of global gene expression in response to various environmental stresses in the cyanobacterium Anabaena sp. PCC 7120. J. Gen. Appl. Microbiol., 50 (1): 1-8.

 

シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120のマイクロアレイを作成し、その有用性を報告しました。

 

2001

1. Ohmori, M.*, Ikeuchi, M., Sato, N., Wolk, P., Kaneko, T., Ogawa, T., Kanehisa, M., Goto, S., Kawashima, S., Okamoto, S., Yoshimura, H., Katoh, H., Fujisawa, T., Ehira, S., Kamei, A., Yoshihara, S., Narikawa, R., and Tabata, S. (2001) Characterization of genes encoding multi-domain proteins in the genome of the filamentous nitrogen-fixing Cyanobacterium Anabaena sp. strain PCC 7120. DNA Res., 8 (6): 271-284.

シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120のゲノム配列が決定されたのを受けて、そのゲノムを解析したところ、情報伝達系タンパク質が豊富に存在していました。中でも、センサードメインと考えられるPASドメインとGAFドメインとが特に豊富に存在していることが明らかとなりました。

英語総説論文

1. Fushimi, K., Narikawa, R.*  (2019) Cyanobacteriochromes: Photoreceptors covering the entire UV-to-visible spectrum. Curr. Opin. Struct. Biol., 57: 39-46

日本語総説論文

8. 伏見圭司成川礼* (2020) シアノバクテリオクロムの進化的系譜から着想を得た多彩な光変換分子の合理的設計 光合成研究, 30 (2): 96-109

7. 伏見圭司成川礼* (2019) 哺乳類内在性色素を結合するシアノバクテリオクロム バイオサイエンスとインダストリー, 77 (6): 472-473

6. 伏見圭司成川礼* (2019) 光を感知して色が変わるシアノバクテリオクロム バイオサイエンスとインダストリー, 77 (6): 436-437 

5. 伏見圭司成川礼* (2018) 光合成生物における開環テトラピロール結合型光受容体 生物物理, 58 (6): 303-307. 

生物物理誌に日本語総説が掲載されました。雑誌の表紙にも選んでいただきました。シアノバクテリオクロムの色調節機構を中心に、専門外の人にも分かりやすく執筆したつもりです。興味のある方は是非、お読み下さい。

4. 樫本友則成川礼* (2017) シアノバクテリアの光応答戦略 Bull. Plankton Soc. Japan, 64 (1): 67-71. 

シアノバクテリアの光応答戦略に関する日本語総説が日本プランクトン学会報に掲載予定です。前半はシアノバクテリアの光応答について広く概説し、後半は我々の研究室で進めているAcaryochloris marinaに関する内容に絞り記載をしました。

3. 日原由香子, 朝山宗彦, 蘆田弘樹, 天尾豊, 新井宗仁, 粟井光一郎, 得平茂樹, 小山内崇, 鞆達也, 成川礼, 蓮沼誠久, 増川一 (2017) 多彩な戦略で挑むシアノバクテリア由来の燃料生産 ー持続可能な第三世代バイオ燃料生産の最前線. 化学と生物, 55 (2): 88-97. 

さきがけ藻類バイオ領域の研究者の中で、シアノバクテリアを対象としている研究者の成果をまとめた日本語総説が化学と生物に掲載されました。さきがけの成果をこのような形で一般に分かりやすく報告ができて良かったです。さきがけでの3年半はプレッシャーがきつかったものの、様々な分野のアクティブな研究者と交流が非常に刺激的でした。この経験を活かし、さらに面白い研究を展開していきたいと思います。

2. 成川礼* (2016) 光合成生物における開環テトラピロール結合型光受容体. 光合成研究, 26 (2): 122-137. 

http://photosyn.jp/journal/kaiho76.pdf

光合成研究2016年8月号にて、「光合成生物が有する光受容体」という特集号を慶応大学の岡島公司さんと組み、開環テトラピロール結合型を成川が、フラビン結合型を岡島さんが、レチナール結合型を東京大学の吉澤晋さんが担当しました。どれも分かりやすく面白い総説になっていると思います。私が担当した開環テトラピロール結合型光受容体の総説では、フィトクロムとシアノバクテリオクロムについて、その生理的側面、光化学的側面、生化学的側面、構造学的側面など、様々な面から分かりやすく執筆したつもりです。興味のある方は是非お読みください!

1. 伏見圭司成川礼* (2016) 遠赤色光を吸収して光変換しつつ蛍光を発するタンパク質の発見と応用利用. ケミカルエンジニヤリング, 61 (7): 481-485.

 

伏見さんがメインで、総説を書きました。アカリオクロリスから見いだしたBV結合型シアノバクテリオクロムに関する総説になります。

その他

 

2. Narikawa, R., Okamoto, S., Ikeuchi, M. and Ohmori, M. (2003) Newly identified motifs within PAS domains of filamentous cyanobacteria. Genome Inform., 14, 404-405.

シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120には非常に多くのPASドメインが存在しますが、そのうちのある一群において、特異的に保存されている配列モチーフを見出し、それらが一次配列上は離れているにも関わらず、立体的には近傍に存在し、機能している可能性が示唆されました。

1. Katayama, T., Okamoto, S., Narikawa, R., Fujisawa, T., Kawashima, S., Itoh, M., Ohmori, M. and Kanehisa, M. (2002) Comprehensive analysis of tandem repeat sequences in cyanobacteria genome. Genome Inform., 13, 400-401.

 

シアノバクテリアのゲノム中に非常に多くのタンデムリピートが存在することを明らかにしました。