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オンライン学会大会の運営に関するあれやこれや

コロナ禍における学会の年会・大会運営


去年の春先からのコロナ禍で、世界全体の様相が一気に変化してしまった。研究業界でも、学会の年会や大会が当初は中止・延期になり、その後はオンライン開催をするようになっていった。今後はまた完全オンサイトに戻ることもあるかもしれないし、オンラインとオンサイトのハイブリッド開催や完全オンライン開催を選ぶこともあるだろう。成川は昨年5月に光合成学会のオンサイト年会・シンポジウムを前任校である静岡大学にて主催する立場にあったが、コロナ禍真っ只中で、まだオンラインでの会議にも慣れていない中であったため、残念ながら中止という判断となった。その後、9月の半ばに成川らが企画していたシンポジウムのみをオンラインにて開催した。そして、今年こそは、ということで、再び今年の5月に光合成学会の年会・シンポジウムを静岡大学にてオンサイトで行うことを模索したものの、やはりコロナ禍は収束せず、完全オンラインで開催することとなった。


それから、この4月に東京都立大学に異動したのだが、今年の9月に東京都立大学にて植物学会の大会が開催される予定であった。この大会は、ポスター発表のみオンライン、それ以外は全てオンサイトという体裁で開催を模索してきた。異動後に上記の経験を買われて、オンライン担当にアサインされて、ポスター発表の面倒を見ることになったものの、それ以外については、気軽に参加できると呑気に構えていた。しかしながら、やはりコロナ禍は収束せず、ギリギリまでオンサイト開催を模索したものの、結果的には完全オンラインでの開催となった。ということで、そこから一気に成川の業務が増大したわけだけれども、Zoomでのオンライン学会の運営経験のあるお茶の水女子大学の岩崎貴也さんが運営に参画してくれることになり、Zoomのアカウント・ミーティングの管理を一括して行い、かつ各種マニュアルの作成にも尽力してくれた。彼の貢献もあって、なんとか大会の開催まで漕ぎ着けることができ、大会も大きなトラブルなく運営することができたと思う。また、大会開催の形態について変更しただけでなく、一般口頭発表の方式についても二転三転し、参加者の皆さんに多大な不安をおかけしたことは申し訳ないと思っている。そして、そんな中でも、座長、シンポジウムオーガナーザーの皆さん、発表者の皆さん、参加者の皆さんが協力してくれたからこそ、大きなトラブルなく運営できたのだと思う。オンラインでの学会大会・年会の主催というのは、多くの人が経験するものではないだろうが、今後、経験せざるを得ない人もいるだろう。そこで、今後、他の方がオンライン学会を開催する上で参考になればと思い、植物学会での運営経験を整理して文章にまとめておくこととした。


今回、作成した諸々のマニュアルなどのファイルを以下のリンク先にて公開する。PDFファイルを置いているが、元のファイルが欲しいという方は、成川までご連絡ください。マニュアルの多くはお茶の水女子大学の岩崎貴也さんにご作成いただいた。




オンライン大会本部の設置


まずはオンライン大会でのトラブルを迅速に対処するために、オンライン大会の本部を設置し、そこでアカウント管理やタイムキーパー業務を行うこととした。異動して間もなかったため、学内のネットワークにあまり通じておらず、まずは学内ネットワークに精通している部署の事務の方々に色々とご教示いただいた。その上で、ネットワーク環境が頑強な建物の3部屋を予約した。さらに、その部屋のネットワークが不調になった時のために、やはりネットワーク環境が頑強な別の建物の3部屋もバックアップとして予約した(幸い実際に使用することはなかった)。一般口頭発表・シンポジウムは8会場で同時進行であり、それらのZoomアカウント管理業務とタイムキーパー業務を行う人数に鑑みて、予約した3部屋のうち2部屋で業務を行い、1つのネットワークにぶら下がるPCの数と、部屋あたりの人数を減らすことで、ネットワーク不調防止や感染防止に努めた。残りの一部屋を業務途中の自らの発表のための場所や何かあった時の待機場所とした。また、頑強なネットワークであるとはいえ、当日に何があるか分からないため、ネットワークのバックアップも用意した。2つのポケットwifiをレンタルし、オンライン会場となる2部屋に配備した。さらに、学内のもう一つのネットワークにもアクセスできるため、そちらを第二のバックアップとした(そこまで安定しておらず、また、100分で一旦自動的に接続が切れてしまうため、本当に万が一のためのバックアップとした)。大会開始前の午前中に実際にネットワーク環境が頑強であるはずのシステムに接続したのだが、いきなり、そのネットワークが不調に陥ってしまった。すぐに大学のスタッフが来て、不調の原因を探り解決してくれたので事なきを得たが、肝を冷やした。どうやら物理的な接続部のケーブル不良が原因だったようである。



Zoomでの発表形式


今回、口頭でのやりとりを介する全ての発表をZoomにて行った。それ以外のファイルとチャットを介したやりとりは外部業者に委託したORSAM portalというシステムにお願いしていたので、大会運営スタッフとしては、Zoomでの発表を全面的に運営することとなった。当初の予定では、一般ポスター発表と高校生ポスター発表のポスターディスカッションのみをZoomで行う予定であった。これらについては、事前に発表者がポスターファイルをORSAM portalにアップロードしておき、参加者はそれを事前に見てチャットで質問を投げることも可能となっている。その上で、一般ポスター発表では、奇数・偶数に別れて2時間ずつ、高校生ポスター発表では、奇数・偶数に別れて45分ずつのZoomによるディスカッション時間が設けられている。一般ポスター発表は169演題、高校生ポスター発表は41演題であったため、一般ポスター発表では4つのZoomアカウント、高校生ポスター発表では1つのZoomアカウントで、それぞれのポスター番号に対応するブレイクアウトルームを開放し、それぞれの時間枠で、発表者と参加者とが自由にディスカッションするという形式である。そのため、運営側としてはミーティングを開始し、ブレイクアウトルームを開放しておくくらいで、あとは個別のトラブル対応をするという感じである。これらについては、特に大きなトラブルは起きないと想定されたため、アカウント管理については、教員ではなくアルバイトの学生さんに担当してもらった。ポスター発表については、当初からオンラインでの開催が決定していたため、その形式についても事前によく相談して決めることができていたが、一般口頭発表・シンポジウムについては、原則オンサイトでの開催を目指していたため、オンラインでの形式について、運営委員の中で明確に合意がないままに進んでいる状況であった。その中で、雲行きが怪しくなってきた時に、直前でオンライン学会に切り替わった時の対応を議論することとなった。業者のキャンセル料が高くなる段階が、当日の10日前くらいであり、そこまでオンサイト学会の開催を模索する方向であったため、そんな直前にオンラインに切り替えた場合、全ての演題をタイムキーパー付きでタイムラインに従った進行をするのは難しかろうということになった。そこで、シンポジウムについてはタイムラインに従った運営にするものの、一般発表については、要旨の提出でもって発表したとみなすという案も出た中で、少しでも発表できる形態を模索し、ポスター発表のポスターディスカッションと同様の形式に切り替えるのはどうか、という案を成川の方で出した。これであれば、直前、タイムキーパーやアカウント管理の人員を急ピッチで配備する必要なく運営可能と見込めたからである。


しかしながら、事態の収束も見込めない中で、より早い判断が必要となり、実際には8月中に完全オンライン開催が決定した。当初の見込みよりも前倒しでオンライン化が決定したことから、その分、準備期間も余裕が出たはずなので、その時点で、一般口頭発表の形式について、今一度検討すべきだったと反省しているが、当時はそんな余裕もなく、当初の予定通りのポスター発表と同様の形式に変更するという決断をしてしまった。この決定に対して、さまざまな意見が学会本部に寄せられる事態となってしまい、そのような状況を受けて、再度運営委員で検討したところ、まだ開催まで余裕があるし、既にシンポジウムについてはアカウント管理やタイムキーパー業務について整備を進めている段階であり、それを拡張するだけであると考えれば、実現可能ではないかという判断になった。ということで、朝令暮改で二転三転することになってしまったが、一般口頭発表もシンポジウムと同様に、タイムキーパー付きでタイムラインに従った進行で運営するよう再変更した。このように二転三転してしまったことで、参加者の皆さんに多大な不安と迷惑を掛けてしまい、本当に申し訳なく思っている。


短期間で運営体制を整備するために、今回の一般口頭発表とシンポジウムについては、ウェビナー形式は採用せず、すべてミーティング形式にし、かつ、一般口頭発表については、ブレイクアウトルームも活用することとした。当日のプログラムでは、A会場から H会場までの8つの会場で同時進行で一般口頭発表とシンポジウムが開催されるが、B、E会場は常にシンポジウム、A、 C、D、F、G会場は常に一般口頭発表、H会場は一般口頭発表とシンポジウムのミックスであったので、CD会場とFG会場を一つのZoomアカウントで管理し、二つのブレイクアウトルームを解放する形として、残りの会場は単独のZoomアカウントで管理した。こうすることで、アカウント管理の人員を抑え、アカウント管理者6名、タイムキーパー8名を各セッションにアサインすれば良いという形に整えた。


ウェビナーは管理がミーティングより複雑で、視聴者は顔を見せられない。後者はメリットもデメリットもあると思うが、いつでもどの参加者も顔を出せるミーティングは、個人的にはオンサイトの雰囲気により近いと感じる。ミーティングの場合、マイクオンオフに頓着していない参加者のミュート解除や強制ミュートをホスト権限で行うという処理が発生しうるが、昨今、多くの方々がZoomによるオンライン会議の経験を経ていると想定し、そのような手間もそれ程大きくはないと判断した。


これらの発表以外に、企業・バイオリソース展示、ダイバーシティー推進セミナー、名誉会員記贈呈式・授賞式・受賞公演・会員の集い、公開講演会が開催される予定であった。懇親会はオンサイト大会では開催しないことになったものの、完全オンラインとなったため、オンライン懇親会をやりましょう!と運営委員の話し合いの中で声をあげた。企業・バイオリソース展示については、ポスター発表同様、ミーティング内でブースに対応するブレイクアウトルームを解放することとした。ダイバーシティー推進セミナーと授賞式等と公開講演会については、ウェビナーで開催することとして、懇親会はミーティングで各挨拶と乾杯の間は、ブレイクアウトルームを開放せず、その後、各名誉会員、受賞者をお祝いするルームや口頭発表の分野ごとのルーム、子連れルーム、フリールームに対応するブレイクアウトルームを開放する形とした。



Zoomアカウントの契約


複数のZoomアカウントで同時にミーティングを行う必要があるため、複数のZoomアカウントの契約をする必要があった。契約そのものは委託業者がやってくれるのだが、契約のための登録メールアドレスをこちらで用意しなければいけなかった。この作業については、お茶の水女子大学の岩崎さんが一括して対応してくれたのだが、大会専用のGoogle アカウントを開設し、かつ、1つのアカウントでエイリアスによって複数のメールアドレスを取得するという形で進めてくれた。このような工夫によって、1つのGoogleアカウントで複数のZoomアカウントの契約を締結することができた次第である。



PCの配備


PCは同じスペックのウィンドウズマシンを18台レンタルした。12台をタイムキーパー仕様、残り6台をアカウント管理仕様とした。タイムキーパーは、同時に8台使用するが不調の際の予備として、4台もタイムキーパー仕様として整備を進めた。一般口頭発表とシンポジウムで6つのアカウント管理PCが必要となるため、アカウント管理仕様とした6台のPCをそれ専用として運用した。企業・バイオリソース展示、ダイバーシティー推進セミナー、高校生ポスター発表のポスターディスカッションについては、それ専用のPC(タイムキーパー仕様としているPCを使用)をアサインした。一般ポスター発表のポスターディスカッションは、一般口頭発表・シンポジウムとは日程的に重複していないため、アカウント管理用のPC4台を利用した。一方、授章式等と懇親会については、成川が個人で使用しているPCを利用してアカウント管理を行なった。公開講演会も他と日程が被らないため、アカウント管理用のPCを利用した。アカウント管理用のPCには、最新版のZoomをインストールするだけであるが、タイムキーパー用のPCについては、様々なアプリをインストールし、それらを適切に設定する必要があった。この設定方法については、以下のリンク先に詳しく説明が掲載されているので、そちらを参照されたい。マッキントッシュのPCではこの設定をうまく行うことができなかったが、ウインドウズのPCではうまく行うことができた。




教員とアルバイトのシフト


都立大の学部生・院生20名に、アルバイトとして協力いただいた。このうち16名をタイムキーパー業務にアサインし、博士課程の学生2名をアカウント管理業務にアサインし、1名は企業展示・バイオリソース展示と高校生ポスター発表のポスターディスカッションの業務にアサインした。残りの1名には、特定の業務には携わってもらわずに、トラブル対応に専念してもらうことにした。タイムキーパー業務に携わる16人は4人ずつの4グループに分け、下表のような形でシフトを作成した。一般口頭発表・シンポジウムは18日午前・18日午後・19日午前・20日午前の4枠あったので、それぞれの4枠に対して、2グループがタイムキーパー業務、1グループが待機、残りの1グループはシフトなしという形にして、全てのアルバイトが等しく3枠分(待機1を含む)のシフトに入るという形になる。タイムキーパー業務を担当するアルバイト学生の皆さんには事前にマニュアルを配布し、時間のある時にうちの研究室に来てもらって、操作方法について事前説明を行った。


一方、教員のシフトについては、成川とお茶の水大学の岩崎さんは自らの発表や座長の時以外には、それぞれが部屋の責任者となり、フリーでトラブル対応できる形にした。博士課程の学生2名がアカウント管理業務にアサインされていたため、他の4枠のアカウント管理業務を教員の方々が担当してくれた。多くは都立大学のオンライン本部で管理業務に携わったが、理研に所属されている方々は、遠隔でアカウント管理業務にあたった。



リハーサル


直前の開催形態変更であったため、発表者全てに対してリハーサルを行うことは困難であると考え、一般口頭発表の座長・シンポジウムオーガナイザー向けのリハーサル、授賞式などのリハーサル、企業・バイオリソース展示のリハーサルのみを開催した。座長・シンポジウムオーガナイザー向けリハーサルについては、2日間の10-12時、13-17時のいつでも良いからリハーサル用のZoomミーティングに参加してもらうようアナウンスし、成川が待機して訪問する方々に対応した。誰かが来たかどうかをデュアル画面の一方で確認しつつ、書類仕事を進めるというやり方で、この時間を捌いた。リハーサル前に、参加者向けのマニュアルと座長・オーガナイザー向けの留意事項を配布し、よく読んでもらうように通知した。訪問した方々には、タイムキーパーの設定と見方、ビデオオン・オフ、マイクオン・オフの方針、質疑応答の方針、強制ミュート・ミュート解除の方針などを説明した。タイムキーパー画面を個別にピン留めする形で周知していたのだが、その後、学会本部の方から、タイムキーパーが挙手しておくことで、個別にピン留めすることなく、常に上に表示させることができるということを聞いた。しかし、既にピン留めのことを周知した後で、開催直前であったため、その方式は採用しなかった。座長、オーガナイザーにしっかり周知できないと、タイムキーパーが挙手していることで、何かトラブルなど起きたのかと勘違いし、混乱しかねないと思ったからである。予め周知できるのであれば、タイムキーパーが挙手しておくというのは、極めて有効な手段であろう。企業・バイオリソース展示のリハーサルについては、特定の1日の10-12時、13-17時のいつでも良いからリハーサル用のZoomミーティングに参加してもらうようアナウンスし、成川が待機して訪問する方々に対応した。こちらについては、ブレイクアウトルーム内で自由に展示してもらう形であったので、ブレイクアウトルームへの入り方などについて簡単にアナウンスするのみの簡単なリハーサルであった。


授賞式や贈呈式では、 Zoomのイマーシブビューという機能を利用した臨場感のある演出を企画していたため、まずは大会運営委員と学会本部の運営委員とで簡単なリハーサルを行い、イマーシブビューの利用について検討した。その後、登壇者の方々向けのリハーサルを設け、実際に登壇者がイマーシブビュー上で正常に表示されるかをチェックした。 Zoomが最新版になっていなかったり、使用しているOSとの相性だったり、設定の問題だったりで、正常に表示されない不具合が多少あった。本番でもそのような不具合がやはり起きてしまうこともあったが、概ねうまく表示された。イマーシブビューを利用した演出は非常に臨場感があり、今後も多くの学会で採用される機能だと思うので、今回の演出について、次項にて詳しく記載したい。



イマーシブビューによる演出


まず、イマーシブビューはアカウントのデフォルト設定でオフになっているため、その機能が実装されていることに気づいていない方が多いと思う。ウェブ上でZoomアカウントにログインし、設定一覧を表示し、下にスクロールしていくと、「ミーティングにて(詳細)」の項目がある。その中のイマーシブビューの設定をオンにしておくと、イマーシブビューの機能が使用できるようになる。


この状態でログインすると、ギャラリービューとスピーカービューに加えて、イマーシブビューも選択できるようになる。イマーシブビュー機能では、特定の人たち最大25名を仮想空間上に配置することができる。ミーティングの場合、参加者全てが対象となるが、ウェビナーの場合、パネリストのみが対象となる。また、イマーシブビュー機能を実装する場合には、必ずホストも仮想空間上に配置されることになる。実際にイマーシブビューを選択すると、背景画像を選択し、かつ、仮想空間上に誰を配置するかを選択することができる。デフォルトでいくつかの背景画像が設定されているが、自身で作成した背景画像をアップロードして使用することもできる。デフォルト画像の場合、参加者がアサインされる場所やサイズなどがある程度固定されているが、自分でアップロードした画像を背景とした場合、参加者の場所やサイズを自由に設定することができる。これらの操作については、実際に自分で実装して試してみた方が早いだろう。今回の演出においては、贈呈式・授賞式でイマーシブビューを使用するということで、裏方である成川は仮想空間上に配置したくないのだが、ホストとしてイマーシブビューを実装すると、どうしても自らも仮想空間上に配置されてしまう。また、ホストがビデオオフにすると、自動的にイマーシブビューが機能しなくなってしまうため、ビデオをオンにし続けなければならない。そこで、成川も仮想空間上にいて、ビデオオンにしながら、その場にいないようにするために、物理的にパソコンのカメラに付箋を被せて黒子になるような演出をした。さらに、賞状をリアルタイムで表示するという演出をするために、アルバイトの学生さんにも一緒にイマーシブビュー上に入ってもらい、彼も普段は黒子となるべく、付箋を貼って姿を消していた。実際に贈呈式・授賞式を行っている現場は以下の写真のような状況であった(笑)。



少しでも臨場感をもった演出にしようということで、都立大学の小ホールの写真を撮影し、それを基にイマーシブビューの背景画像を作成した。残念ながら舞台の暗幕は下がっておらず、バックヤードが丸見えの状態であったので、パワーポイント上で、黒いオブジェクトでうまく背景を隠しつつ、贈呈式・授賞式らしい背景画像を作成した。以下にビフォーアフターの写真を掲載する。


上の背景画像の中に、人物を配置し会を進行するわけだが、贈呈式や授賞式でその対象者が表彰されている時にリアルタイムで賞状を掲載しようと試みたが、画像を仮想空間上に配置するような機能は実装されていなかった。そこで、上述したように、アルバイトの学生さんにも黒子として仮想空間に入ってもらい、プロフィール画像を次に提示する肖像の画像に設定しておき、こちらが合図したタイミングでビデオオフにすることによって、賞状を表示するというトリッキーな手法によって、リアルタイムの演出を行なった次第である。学生さんには、賞状を事前に出す順番に用意しておいてもらい、前の方の賞状読み上げが終わったらビデオオンにし、すぐに次の賞状にプロフィール画像を切り替えてもらった。実際にテストで行った時の画面の切り替えの様子を以下に示す。この時の賞状画像は仮のものであるが、本物の賞状を学会本部の方にスキャンした画像を送っていただき、解像度なども良くした状態で本番は表示するようにした。

折角なので、本番の様子を保存したスクリーンショットも以下に掲載する。こちらは、日本植物学会若手奨励賞を受賞された東北大学の番場さん、基礎生物学研究所の金澤さん、東京大学の神保さんを表彰した時の様子である(プレゼンターとして、寺島会長、司会役として石田理事も登壇しており、成川と学生さんもイマーシブビューには入っているが、隠れている状態である)。皆様、おめでとうございます!今後のご活躍を期待しております。




オンラインでは、なかなか臨場感のある形の演出はこれまで難しかったと思うが、イマーシブビューを利用することで、オンサイトに近い形の演出ができたのではないかと感じている。懇親会でも、最初の挨拶と乾杯の音頭の時にはイマーシブビューを利用した。



SlackとGoogle driveの活用


大会が始まる数日前から大会専用のSlackを立ち上げて、運営委員の皆さん、学会本部の皆さん、委託業者の皆さん、アルバイトの中でもアカウント管理などの業務についている方々に参加してもらい、大会中に即時的に連絡を取れるようにした。細かいトラブル対応などをSlackを介してやり取りすることで、非常に円滑に運営できたと感じる。また、マニュアルやシフト表など各ファイルについては、Google drive内で共有し、新しいファイルを迅速に共有できるように手配した。アカウント管理PC、タイムキーパーPCにもGoogle driveへのリンクを作成しておき、これらのファイルにすぐにアクセスできるように設定しておいた。



当日の流れとトラブル


16日に一般ポスターディスカッション、17日に試写、18-20日に一般口頭発表・シンポジウム、企業・バイオリソース展示が行われ、19日にはダイバーシティー推進セミナー、授賞式など、懇親会、20日には高校生ポスターディスカッション、公開講演会が開催された。16日の一般ポスターディスカッション時には、上述したように最初にネットワークトラブルがあったものの、それ以降はネットワークに関するトラブルは起こらなかった。17日の試写では、動画が作動するかなどを確認する方が多く、また、Zoomのバージョンが古かったため、ブレイクアウトルームが表示されない方などもいた。18日から始まった一般高騰発表・シンポジウムでは、二つの会場が同時進行のC・D会場、E・F会場でブレイクアウトルームが強制的に閉じてしまうトラブルが続出した。当初、原因が分からず運営側としてはかなり狼狽えたのだが、後ほど、共同ホストの権限を付与していた座長の先生が、ブレイクアウトルームを退出する操作の時に誤ってブレイクアウトルームを閉じる操作をしてしまったことが原因であると判明した。アカウント管理者向けには、そのような誤操作のないように注意喚起をしていたのだが、本部ネットワークが落ちてもアカウントが落ちないように共同ホストにアサインしていた座長の方々にも同様の注意喚起をしていなかったことが招いた事態だと考えている。これ以降、座長やオーガナイザーの方々を共同ホストには設定せずに、タイムキーパーの方々を共同ホストに設定し、運用することとした。これらのトラブル以外には、軽微なトラブルはあったものの、概ね順調に大会は進行したと捉えている。



おわりに


8月末に完全オンライン開催に舵を切ってから、特に一般口頭発表の開催形態について二転三転したことで、学会本部や参加者の皆さまには多大な不安と迷惑をおかけしてしまったが、そんな中でも、学会本部の方々、座長・オーガナイザーの皆さま、運営委員の皆さま、学生アルバイトの皆さま、参加者の皆さまの協力と温かいお言葉に支えられて、大過なく大会を運営することができたと感じる。今回の大会が、研究交流のさらなる活性化の一助となっていれば幸いである。最後に、完全オンラインになって以降、大会運営業務に忙殺され、17日の夜から20日の大会が終わるまでに至っては、大学近隣に宿泊したわけだが、その間、家事育児をワンオペで捌いてくれた妻に何より感謝したい。



余談


オンライン開催となってしまい、八王子の都立大学南大沢キャンパスに訪れる機会を逸してしまった参加者が多かったのは残念であり、少しでもキャンパス内の様子やキャンパス周りの飲食事情を知ってもらうために、Twitterにてその辺の情報を写真も交えて紹介した。そちらも合わせてお楽しみいただければと思う。


日本植物学会八王子大会オンラインツアー


日本植物学会八王子大会オンラインツアー 飲食店編


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